著者:関 勝寿
公開日:2017年8月17日
キーワード: math

2次式の因数分解の簡便な計算方法について記す。

$ ax^2 + bx + c $ を因数分解する方法について、このブログ記事で紹介されていた方法を記す。

  • かけて $ac$、足して $b$ になる2数 $p, q$ を見出す。
  • $ ax^2+px+qx+c $ と変形する。
  • $ ax^2+px$ と $qx+c$ をそれぞれ共通因数でくくる。
  • あとは簡単。

証明は上記のブログ記事に書かれているが、簡単に言えば $pq=ac$ なので $ax^2+px = \frac{ax}{q}(qx+c)$ となり、$(qx+c)$ が $ ax^2 + bx + c $ の因数となる。

計算例を示す。

[[ \begin{array}{rl} 5 x^2 + 11x - 12 &=& 5 x^2 + 15x - 4x - 12 \cr\cr &=& 5x(x+3) - 4(x+3) \cr\cr &=& (5x-4)(x+3) \end{array} ]]

つまり、最初に「かけて $5 \times (-12) = -60$、足して11」となる2数を見つける。それは15と-4である。そして、$11x$のところを$15x-4x$と書き換える。あとは簡単。

高校の教科書に書かれている「たすき掛け」を使ってこの問題を解くためには、

[[ \begin{array}{rl} 1 & & 3 \cr\cr 5 & & -4 \end{array} ]]

の形に持っていくために、12を約数に分解した後に面倒なたすき掛けの計算を何度も試行錯誤する必要がある。その点、この方法であれば「かけていくつ、足していくつ」の数を見つければいいので、試行錯誤の計算が楽になる。特に $a$ や $c$ に約数が多い場合にはたすき掛けよりも楽である。$a$と$c$の約数が少ない場合にはたすき掛けの方がすぐに計算できる場合もあり、適宜使い分けても良い。

この方法は、高校の先生に「教科書には書かれていない簡便法」として教えてもらったという学生もいた。ひそかに広まっているようである。