四大公害の比較

日本の高度経済成長期には、重化学工業化のために産業公害が拡大し、四大公害事件(水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく)が発生した。四大公害の発生地域、原因企業、原因物質、症状、裁判と判決等について比較する。(更新履歴

  水俣病 新潟水俣病
(第二水俣病)
イタイイタイ病 四日市ぜんそく
発生地域 熊本県水俣市 不知火海沿岸 新潟県 阿賀野川流域 富山県 神通川流域 三重県 四日市市
原因企業と工場 新日本窒素肥料
(現チッソ株式会社, JNC株式会社)
水俣工場、アセトアルデヒド工場
昭和電工 (現新潟昭和)
鹿瀬工場
三井金属鉱業
神岡鉱山亜鉛精錬所
石原産業、中部電力、昭和四日市石油、三菱油化、三菱化成工業、三菱モンサント化成
原因物質 メチル水銀化合物
(水質汚濁)
カドミウム
(水質汚濁)
硫黄酸化物
(大気汚染)
症状 手足のふるえ、感覚障害、聴力障害、神経障害、運動失調、視野狭窄、平衡機能障害、言語障害 骨軟化症、腎機能障害 気管支炎、気管支ぜんそく、咽喉頭炎など呼吸器疾患、肺気腫
発生 1953年頃に発生
1956年に公式に確認
1965年 1910年頃 1959年頃
裁判提訴 1969年 1967年 1968年 1967年
争点 被告の責任
(因果関係は被告企業が認めた)
因果関係と被告の故意または過失責任 因果関係の立証 共同不法行為の成立、故意または過失責任、因果関係
判決1) 1973年3月 患者側全面勝訴
被告の注意義務違反による過失責任
1971年9月 患者側全面勝訴
原因物質と汚染径路の情況証拠から因果関係認定
人の生命身体の安全確保に対する企業の注意義務違反による過失責任
1971年6月 患者側全面勝訴
疫学的立証法で相当因果関係が存することを認定
1972年7月 患者側全面勝訴
被告6社の共同不法行為を認めた
立地上の過失と注意義務違反による過失責任
参考サイト 新潟県 昭和48年版環境白書 四日市市
1) 詳細は昭和48年版環境白書第2章第1節の四大公害裁判の教訓を参照。

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